今朝、ピンクと紫の二輪の朝顔が見事に咲きましたよ〜。
と言っても、お菓子の朝顔ですが。
一日の始まりを、こんな素敵な花とともに迎えることができるなんて、今日もなんだか良いことがありそうな予感。
「夏はいかにも涼しきやうに」
とは千利休の言葉ですが、蒸し暑い日本では、夏は生活や文化のすべてにおいて涼しさが第一とされています。
夏の朝に彩りと涼しさを届けてくれる朝顔も、これに一役買ってくれていますね。
「あさがお」煉切製:いづみや
ピンクと白にぼかし染めた煉切で小豆こし餡を包み、茶巾絞り仕立てにします。さらに、緑色に染めた羊羹製の細い蔓(つる)と葉っぱを添え、朝顔を写したお菓子です。
断面を見ると、中の餡の種類はもとより、何色と何色の生地をどのくらいの割合や順番でどう組み合わせて作られているか、手に取るようにわかります。
建物で言う設計図みたいなものですね。
外観だけでなく、切り口を鑑賞する楽しみもあるんです。
こちらは、色違いのもう一品。
蔓のような細くてくねくねしたラインを描く場合、通常はグラス絞り羊羹を使います。
これは、洋菓子店でケーキに文字や細かい装飾を描く時に使うコルネという絞り袋と同じ原理のもので、セロハン系のシートをラッパ状に巻き、着色した細工用の羊羹を入れて絞り出しながら線を描く方法です。
今回は、この手法ではなく、緑色の羊羹を細長くひも状に切ったもので表現しているのが特徴です。
早朝に開いて昼前にはしおれてしまう朝顔ですが、その一瞬の美しさを楽しむ点は、上生菓子と似ていますね。
生菓子であるがゆえに、美しくともすぐに食べられ、消えてしまう上生菓子。
儚いものには共通の美しさがありますね。