「朝顔(あさがお)」煉切製:花見
ピンクに染めた煉切で餡を包み丸め、中央をへこませ寒天を流し込みます。羊羹製の葉や蔓(つる)、寒天の雨露を添えて朝顔を写しています。
「朝顔に釣瓶(つるべ)とられてもらい水」 加賀千代女
朝顔といえば、この句は外せないですね。
朝、井戸に水を汲みに行ったら、釣瓶に朝顔の蔓が巻き付いていて水が汲めません。でも切ってしまうのは忍びないので、今日は隣の家から水をもらって過ごしましょう。
朝顔に対する優しい気持ちがよく伝わってきます。日本中に水道が張り巡らされている現代ではこんな句はもう生まれてこないでしょうね。
私が子供の頃は井戸で水を汲むのがあたりまえでした。夏には網に入れたスイカを井戸の中に吊るして冷やしたり、夏でもひんやり冷たい井戸水をかけあって遊んだりしたものです。
現代の朝顔は夏が盛りのイメージですが、この句の朝顔にはなんとなく「秋」を感じますね。そっと守ってあげたくなるような、か弱い朝顔の姿は、ギラギラの真夏というより、少し落ち着いた秋にこそ相応しい感じです。