日本画専門の「山種美術館」に行ってきました。
ここに併設された「カフェ 椿」では、展示中の日本画をモチーフにしたオリジナルの上生菓子を楽しむことができます。
8月29日〜10月22日の期間は「上村松園ー美人画の精華ー」展が開催されています。
上村松園は明治生まれの女流日本画家。気品ある女性像を中心に描き、近代芸術としての美人画を完成させ、女性として初めて文化勲章を受章しています。
今日のお菓子の題材となったのがこちらの絵画です。
上村松園《折鶴》(部分)
(出典:http://www.yamatane-shop.com/product/337)
姉妹が折鶴を楽しむほほえましい情景を、爽やかな色彩と繊細な表現で描いた作品です。
この絵からイメージを膨らませ、小さなお菓子の中に表現したものがこちらの一品になります。
「双鶴(そうかく)」淡雪羹製:菊家
緑色に染めた羊羹製の角棒を入れた淡雪羹の上に、ピンクと紫色に染めた錦玉製の鶴を配したお菓子です。
青山の老舗菓匠「菊家」さんと「カフェ 椿」さん、「山種美術館」の三者共同で、何か月も前から念入りに準備し、何度も試作を重ねて生み出された渾身の逸品ですね。
断面に現れる緑色の羊羹が、各面によって表情を変えるのが楽しいですね。
松園の息子、上村松篁も、さらにその息子、上村淳之も日本画家で、松篁と淳之の両者に「双鶴」という同じタイトルの作品があり、菓銘はこちらに掛けたものと思われます。
上村松篁《双鶴》
(出典:http://www.shibayama-co-ltd.co.jp/)
上村淳之《双鶴》
(出典:http://www.ambistyle.co.jp/cn14/atsushi.html)
上村松園からその子、さらに孫へと三代にわたって受け継がれた日本画の血統が、ひとつのお菓子の中に結集したような逸品です。