「夏つばき(なつつばき)」きんとん製:栗山
緑色に染めたそぼろを、餡のまわりに植え付け、白い煉切で作った花と蕾を添えています。さらに賽の目状の錦玉を散らし、雨に濡れながらも凛と咲く夏椿を写しています。
夏椿は日本原産の木で、花の形が椿によく似ていて、夏に開花することからこう呼ばれています。
花期は6月〜7月初旬で、梅雨時と重なりますが、 雨雲に覆われた薄暗い日に、白提灯を灯したように浮かびあがるその花姿を見ると、気持ちが和みますね。
花びらは5枚あり、白く、蕊(しべ)は黄色で、花びらの縁(ふち)には、フリルのようなこまかいギザギザがあるのが特徴です。
朝に開花し、夕方にはもう落花してしまう一日花で、このように潔く散る様は、一期一会の精神に通じるところがあり、茶花としても愛されています。
夏の爽やかな朝に純白の清楚な花を咲かせるその涼しげな佇まいは、何度見ても見飽きることがありません。