「なすび餅」外郎製:とらや
丸い白茄子(なす)をかたどったお菓子で、白い実の部分は外郎製、へたは羊羹製でできています。中は白餡に混ぜ込んだ黒胡麻です。 慶安4年(1651)にはじめて創作された、歴史あるお菓子です。
上生菓子は三次元なので、いろいろな方向からみると、表情が変わって楽しめます。
茄子(なす)の原産地はインドの東部で、原種は白なすだったそうです。日本には平安時代に伝わりました。
夏から秋にかけて、淡紫色の花をつけ、その後紫紺の実を結びます。茄子の花は「千に一つも仇(あだ)はない」といわれるように、一つとして仇花がなく、咲けば必ず実をつけるといわれています。
茄子の色は、紫のほかに、白、緑があり、形や大きさも長茄子、丸茄子、一口茄子などさまざまで、個性豊かなその姿は、画題のみならず、上生菓子のテーマとしてもおもしろいですね。
白ナスは果皮がやや硬いですが、果肉が軟らかく、アクが少ないので苦みも少ない特徴があります。