「瓢(ひさご)」薯蕷製:豊島屋
小豆こし餡入りの薯蕷饅頭に織部釉の緑を付け、ひょうたんの焼印を押したお菓子です。
ひょうたん(瓢箪)は、「ひさご」とか「ふくべ」とも呼ばれ、俳句の世界では秋の季語になっています。
その末広がりの形から、縁起のよいものとされ、除災招福のお守りや、 魔除けとして用いられてきました。
3つ揃えば、『三拍(三瓢)子揃って縁起が良い』
6つ揃えば、『無病(六瓢)息災』
また、種が多い植物であり、その女体を連想させる形から、子孫繁栄の意味もあるといいます。
そのユーモラスな形が職人さんの創作意欲をかき立てるのか、和菓子の主題としても人気で、四季を通していろいろな意匠に作られています。
いろいろなご利益のあるひょうたんは、新年のお菓子としても重宝されます。
「新玉の(あらたまの)」煉切製:たねや
「ことほぎ」煉切製:菊家
春には、ひょうたんを酒器に見立て、花見酒を表します。
「花見酒(はなみざけ)」煉切製:いづみや
「ひょうたん」求肥製:田園調布あけぼの
「宴(うたげ)」求肥製:鈴木家
「花見酒(はなみざけ)」煉切製:秋色庵大坂家
「花の宴(はなのうたげ)」薯蕷製:ささま
「ひさご」求肥製:大倉山青柳
夏は、まだ熟していない青いひょうたんを描き、涼味を表現します。
「成瓢(なりひさご)」月餅製:鶴屋八幡
「夕顔(ゆうがお)」葛製:末富
「青成り(あおなり)」道明寺羹製:そえ田
「夕涼み(ゆうすずみ)」求肥製:塩瀬総本家
「涼風(りょうふう)」錦玉製:ささま
秋になりよく熟し、果皮がかたくなると、中身をくりぬいて十分に乾燥させ、酒・水や七味唐辛子などの入れ物に加工されます。
「ひょうたん」煉切製:田園調布あけぼの
「養老(ようろう)」黒糖羊羹製:ささま
また、紅葉狩りやお月見などにも欠かせない、酒器としてのひょうたんが描かれます。
「ひさご」求肥製:もみぢ
「ひょうたん」煉切製:梅園
冬は雪見酒。
「雪見酒(ゆきみざけ)」求肥製:梅園
ひょうたんと日本人との関わりの深さを再認識しながらじっくりいただきたいお菓子ですね。