「夜空の華(よぞらのはな)」村雨製:文銭堂本舗
花火の一瞬の美しさを棹物で華やかに表現したお菓子です。上下の村雨生地の間に羊羹をはさみ、上の村雨の生地には色とりどりの連発花火を描いています。
ほろりほろりとくずれるように溶けていく村雨と、きんとん羊羹のしっとりとろける食感の違いが楽しめる贅沢な逸品です。
夜空を覆い尽くすように、大輪の花火が次々に炸裂し、光の玉が放射状に広がっては消えていく様子が目に浮かび、花火の轟音まで聞こえてきそうですね。
村雨とは、こし餡に砂糖と米の粉をまぜて、蒸したお菓子のことです。
ホロホロとくずれそうな、乾いた感じの風合いですが、噛むほどにモチモチ、しっとりとしてきて、やがて口の中で溶けてしまうという独特の食感が特徴です。
今や村雨という言葉は、和菓子の一般用語として、よく使われていますが、実は、大阪府貝塚市の 「塩五(しおご)」という老舗和菓子店で明治時代に作られた「村雨」という銘のお菓子が原形だそうです。この名前は商標登録もされています。
「村雨」という言葉は、秋から冬にかけて断続して、急に激しく降る雨のことを指す意味もあり、俳句や短歌の世界では秋の季語になっています。
ぽろぽろとくずれるようなはかなさを感じさせるこのお菓子は、時々思い出したようにぱらぱらと降っては通り過ぎる村雨の様子に似ているため、「村雨」と命名されたそうです。