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清水二趣

 

毎日相変わらず厳しい残暑が続いていますが、みなさん体調崩されてないでしょうか? 

 

暦の上では初秋といっても、まだまだ水辺が恋しくなりますし、お菓子も水をテーマにしたものを冷たく冷やしていただきたいですよね。

 

今日は、残暑を忘れるために、爽やかな「清水(しみず)」を写したお菓子を二種類お届けします。

 

 

「清水」とは、地面や岩の間などから湧き出てくるきれいに澄んだ水のことで、「泉」が湛えられているのに対して、「清水」は地中からしみ出して流れているものをいいます。

 

旅人がしばらく足をとどめたくなるような涼しげな清水は、夏に最もその魅力を発揮します。 

 

清水は、水がしみ出てくる場所によってさまざまな呼び名があります。 

 

山に湧き出るものを「山清水」、岩の間から湧き出るものを「岩清水」、農家の庭先や門のわきに湧き出るものを「門清水(かどしみず)」、草の中に湧き出るものを「草清水」などと呼びます。 

 

また、「磯清水(いそしみず)」というものもあって、これは、天橋立の砂嘴にある井戸のことで、四面海水の中にありながら少しも塩味を含んでない真水が湧くことから、古来不思議な名水として知られています。 

 

さらに、「玉清水(たましみず)」というのもあり、これは「清水」の美称です。この「玉」は美しいものや素晴らしいものを讃える接頭語で、玉手箱や玉簾(たますだれ)、玉垣(たまがき)などの「玉」と同じ意味合いです。

 

「岩清水(いわしみず)」小倉製:あけぼの 

渦巻き模様をかたどった求肥を小倉餡で包み、桃山製の木の枝とそれに巻き付く蔦の葉を添え、岩間にこんこんと湧き出す清水を表しています。

 

 

「玉清水(たましみず)」錦玉製:両口屋是清 

水色に染めた錦玉羹の中に求肥を入れ、小豆を散らしています。玉のような輝きを見せる深山の清冽な湧き水を写しています。 

 

このような清水に手を浸すと、身も心も清められる思いがしますね。