「水の彩 (みずのあや)」錦玉製: 老松
水色に染めた錦玉で観世流の紋様である「観世水」(水が渦を巻く様子)を写しています。
緑濃い樹々の下を縫うように流れる清流、轟々と水音をたてる滝、こんこんと冷水の湧き上がる清水、暗がりに閑としてたたえられた深淵の水など、水の近くに佇むだけで涼しさが訪れます。
夏場の茶会の主役は、やはり水の景色をスケッチした主菓子でしょう。
一言で「水」といっても、その表情は多彩です。やわらかい穏やかな水紋から、少し動きを感じさせる流水、風に打ち立てられたさざ波、さらには大海原の波涛まで、実に様々な表情があります。
また、水の色も、澄み切った無色透明から、青瑪瑙(あおめのう)を溶かしたような山奥の秘湖の 深いブルーに至るまで、様々な色合いがあります。
このお菓子は、山の奥深くで、人知れずこんこんと清水が渦を巻くように湧き出ている泉を表しているようにみえます。
錦玉製の透明感によって、涼しさを全面に押し出した作品ですね。