「井戸辺(いどべ)」求肥製:一炉庵
刻み栗入りの白小豆こし餡を求肥生地で包みまるめ、中央を窪ませ、大納言の蜜煮をひと粒入れ錦玉を流し固めます。さらに生地の一部に焼き目をつけ、緑の羊羹製の蔦の葉と蔓を添えたお菓子です。
青蔦が生い茂る涼やかな井戸辺の風景を、小さなお菓子の中に見事に切り取っていますね。
連日じりじりと焼けつくような暑さが続いています。 こんな時は、涼を求めて水辺に出かけたくなりますよね。
緑濃い樹々の下を流れる清流、轟々と水音をたてる滝、こんこんと冷水の湧き上がる清水など、水の近くに佇むだけで涼しさが訪れます。
涼水が地下から湧き出る井戸も、暑い季節に欠かせない場所ですね。
私が子供の頃は井戸で水を汲むのがあたりまえでしたし、網に入れたスイカや夏野菜を中に吊るして冷やしたり、夏でもひんやり冷たい井戸水をかけあって遊んだりしたものです。
そんな懐かしい光景が浮かび、ノスタルジーを覚えるお菓子です。