「つくばい」求肥製:大倉山青柳
黒ごま入りの求肥餅で餡を包み、その中央を窪ませ葛羊羮を流し込み、たまった水を表現しています。さらに、柄杓(ひしゃく)をのせる柄杓置きの木を添え、青楓を散らしています。
つくばいからあふれ出た水が、地面に溜まっている様子まで表現されているのは、心憎い演出ですね。
「つくばい」とは、茶事の時、客人が茶室に入る前に、手を清め、口をすすぐために置かれた背の低い手水鉢(ちょうずばち)のことです。
この名前は、手水を使うとき「つくばう(しゃがむ)」ことに由来しています。
塵ひとつ落ちていない、掃き清められた美しい庭園に、さりげなく置かれたつくばい。
春の桜、夏の青葉、秋の紅葉、冬の椿など、つくばいの周りの植え込みの木から、四季折々に姿を変えた葉々や花弁が散り落ち、湛えられた水面に彩りを添えます。
この凛とした空気は、まさに日本の風景ですね。