夏場の上生菓子の主役はやはり、「水」にまつわるお菓子ですね。
水はその特性上、様々な形に変化します。
ひとつぶの水滴や一筋の水源からはじまり、それらが集まって流れをつくり、高低差があれば、雪のように白いしぶきを散らしながら落下し、窪みがあればそこに溜まり硝子のように磨き上げられた水面をも作ります。
また、物が落ちれば幾何学模様のように美しい水紋を描いて応答し、風が吹けばさざ波を立て、岩にぶつかっても逆らわず泡沫を立てながらそれをかわします。
このような様々な水の姿は、どれも心が洗われるように清々しく、爽やかで、暑い夏に欠かせない貴重な風景です。
今日はいろいろな水の涼をお楽しみください!
苔むした大小の岩間を縫うように流れる清流
「水面(みなも)」餅皮製:両口屋是清
深い地下水脈から湧き出てくる夏でもひんやり冷たい泉
「岩清水(いわしみず)」きんとん製:鼓月
夏木立の深い碧を映し出すベールのような滝のカーテン
「滝まくら(たきまくら)」錦玉製:千草庵
渓谷を埋め尽くす青紅葉の木蔭に見え隠れする一筋の水流
「渓流(けいりゅう)」薯蕷製:菊家
岩天井からしたたり落ちたしずくによって描かれる水紋
「水(みず)」煉切製:松むら
古井戸の奥にひっそりとたたえられた水
「井戸辺(いどべ)」雪平製:千草庵
魚たちの戯れで水輪の形に揺れ輝く水面
「清流(せいりゅう)」錦玉製:三鈴
森の奥深く朽ち果てた枯れ木が眠る鏡のように静謐な湖
「錦玉(きんぎょく)」錦玉製:松むら