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氷いちご(俵屋吉富)

 

夏といえば、何を思い浮かべますか? 

 

青い海、入道雲、海水浴、プール、祭り、金魚すくい、盆踊り、花火、浴衣、肝試し、風鈴、うちわ、扇風機、麦わら帽子、日傘、すだれ、蚊取り線香、お中元、セミ、熱中症、スイカ、、、 

 

など、いかにも夏らしい風物が次々に連想されますが、スイーツ好きにとっては「かき氷」も外せないですよね。 

 

氷を薄くうすく削り、新雪のようにサラサラふわふわになったその食感がたまりません。

 

糖蜜だけをかけたシンプルなかき氷もいいですが、果汁や練乳で甘みを付けたり、抹茶や小豆餡、アイスクリームなどを添えた豪華バージョンも食べ応えがあってそそられますね。 

 

そんなかき氷を写した上生菓子が今日の一品です。 

 

「氷いちご(こおりいちご)」外郎製:俵屋吉富 

ブルーとピンク色にぼかし染めた外郎生地で白こし餡を包みまるめ、氷餅をちらしたお菓子です。 

 

上半分の薄紅色の部分はいちごシロップをかけたかき氷、下半分の淡いブルーの部分はガラスの器のように見えます。

 

粗めに砕いた氷餅は、まさに今削りたてのふわふわの氷そのもの。やがてじんわりと融けていきそうなリアル感です。

 

 

この氷餅とは、蒸したもち米粉を煮溶かして糊状にし、型に流して凍結後、乾燥させたものです。 

 

これを砕いてフレーク状にしたものを生菓子にまぶして、飾りとして使います。 

 

薄いかけらが雲母(うんも)のように純白に輝き、まさに薄く張った氷や雪のような質感があるので、特に冬の和菓子に多用されます。 

 

 

私が生まれ育った田舎にある小さな雑貨屋さんでは、毎年夏になると手動式のかき氷機を店頭に据えて、期間限定の茶店を開いていました。 

 

つやつや透明なブロック形の天然氷を機械にセットし、ハンドルをグルグル回しながら削っていく昔ながらのかき氷機です。 

 

私の故郷はほとんど雪の降らない地方だったので、削られた真っ白い氷が器の上にどんどん降り積もっていく様子が珍しく、いつもたくさんの子供たちが集まって見学していました。 

 

お腹を壊すから毎日はダメと親から言われ、実際に食べられるのはせいぜい週に一度くらいでしたが、夏の幸せを感じる何よりの御馳走でした。