「ひまわり」煉切製:いづみや
黄色と白にぼかし染めた煉切で小豆こし餡を包みまるめ、手技でひまわりの花びらをかたどります。さらに、中央のシベ(筒状花)の部分に羊羹を流し、けしの実を散りばめ、緑色の煉切の葉を添えたお菓子です。
夏を代表する花といえば、やはり「ひまわり」でしょう。太陽を彷彿とさせる鮮やかな黄色が印象的ですよね。
ひまわりを漢字で書くと、「向日葵」となり、その字の通り、太陽の方向に花が向き、葉の形が葵(あおい)に似ているという性質をうまく表しています。
ひまわりを和菓子で表現する場合に大きく分けて4通りの方法があります。
・黄色に染めたそぼろ餡を植え付けたきんとん製
・花びらを手技で一枚一枚かたどった煉切製
・木型で押し抜いたもの
・その他
<きんとん製でかたどったもの>
「向日葵(ひまわり)」きんとん製:とらや
「ひまわり」きんとん製:大倉山青柳
「ひまわり」きんとん製:成城風月堂
「向日葵(ひまわり)」きんとん製:村上
そぼろ餡の色合い、質感、密度の違い、中央の筒状花の表現方法、葉っぱのあるなし、中の餡の種類などいろいろなバリエーションが楽しめますね。
<手技でかたどったもの>
「ひまわり」煉切製:金米堂
「向日葵(ひまわり)」煉切製:江戸家
「ひまわり」煉切製:手毬
「ひまわり」煉切製:田園調布あけぼの
それぞれの職人さんの個性が一番反映される製法です。ヘラや指を使って一枚一枚丁寧に花びらを作り上げていくだけあってどの作品も生き生きしていますね。
<木型でかたどったもの>
「ひまわり」煉切製:一炉庵
「向日葵(ひまわり)」こなし製:豊島屋
「ひまわり」煉切製:福島家
「夏の日(なつのひ)」煉切製:菊家
木型ならではのかっちりとしたクールな表情が特徴です。お店による彫りのちがいや、色彩の妙を楽しめますね。
<その他の製法>
「向日葵(ひまわり)」焼皮製:鶴屋吉信
黄色に染めた焼皮で餡を包み、巾着袋のように幾重にもひだ状に折りたたんだ造形でひまわりの花びらの姿を見事に表現しています。
ここまで集めると、さながらお菓子のひまわり畑のようですね。
ひまわりの「陽の気」をたくさん分けてもらい、元気をだしてこの暑さを乗り切りたいものです。