「黄味すだれ(きみすだれ)」錦玉製:一炉庵
半透明の葛羹の上に、千筋を付けた涼しげな錦玉を配し、その中に大納言ひと粒とすだれに見立てた糸状の黄身餡を入れたお菓子です。
すだれ越しに黄金色の夕陽が射し込んでいるような意匠ですね。
卵黄のうまみと、葛の滑らかな舌ざわり、錦玉の透徹した美しさを生かした傑作です。
断面を見ると、黄身餡が糸状になっているのがよくわかります。
すだれが、軒や縁先にかけられ、夏の午後の厳しい陽射しをさえぎっている様子はいかにも日本の夏といった風景ですね。
すだれの代表は葭(よし)ですが、それ以外に、青々としたすがすがしい竹のすだれや、ガラス製の玻璃(はり)すだれ、涼しげな絵をあしらった絵すだれなどいろいろな種類があります。
さらに、お菓子の黄味すだれとは、洒落ていますね。
必要のないときには巻き上げて、生活空間や視界を広げることもでき、涼感と美感をあわせ持つすだれは、開放的な造りの日本家屋に欠かせない夏の必需品です。
夏の暑い昼日中、畳の上に細い線が連なったすだれの陰が落ちて揺れる様は、懐かしい光景として誰にも記憶があるのではないでしょうか。