「木漏れ日(こもれび)」錦玉製:豊島屋
錦玉羹に千筋をつけ、ところどころ緑色の斑点状に染め、小豆こし餡を巻き包んで木漏れ日を写しています。
「木漏れ日」とは、樹木の枝葉の間からさし込む日光のことです。
イメージ的には若葉の隙間をくぐり抜けたやわらかい日差しが木漏れ日にぴったりの感じで、季節としては晩春あるいは初夏の頃の印象でしょうか。
でも、木漏れ日というのは年中みられるものなので、俳句の世界では、特に季語にはなっていないようですね。
新緑の頃の萌え出たばかりの若葉は、葉の厚さもまだ薄く、また葉の数もそんなに密集していないので、透過してくる太陽の光は多目になり、新鮮な若緑色と相まって、明るく清々しい雰囲気になります。
これが、晩夏ともなると、葉の厚さも密度も増し、葉色も深く濃くなり、木陰に入ると日中でも少し薄暗い感じで、木漏れ日はスポットライトのように光の筋がはっきり見え、幻想的な雰囲気になります。
このお菓子の姿からは、夏の終わりの、少し落ち着いた感じの木漏れ日が思い浮かびます。