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地蔵尊(福島家)

「地蔵尊(じぞうそん)」煉切製:福島家 

紫色と白にぼかし染めた煉切で餡を包み、扇の形をした檜扇紋(ひおうぎもん)の木型で押し抜いたお菓子です。要(かなめ)の部分に金箔を添えています。 

 

 

文久元年(1861年)には既に菓子屋を営んでいたという記録が残る「福島家」さんですが、”おばあちゃんの原宿”として有名な、巣鴨の駅前に店を構えています。 

 

この辺りは、江戸時代には五街道のひとつである、中山道(なかせんどう)が通っていた場所で、巣鴨は継立場(つぎたてば)があったところです。 

 

ここで、馬や駕籠の交代を行ったり、俗にいう「峠の茶屋」的な茶屋や売店が設けられていました。福島家さんも街道を行き来する旅人にお茶やお菓子を提供していたのでしょう。 

 

 

さて、巣鴨といえば、はずせないのが、とげ抜き地蔵で有名な高岩寺ですね。 

 

このお寺の紋所が檜扇紋で、お堂の扉や賽銭箱など、お寺のあちこちにこの紋があしらわれています。

 

 

また、高岩寺に続く巣鴨通り商店街の入り口の門や提灯などにも檜扇が描かれていて、檜扇はまさに巣鴨の代名詞のようなものですね。 

 

福島家さんでは常時15種類以上の季節の上生菓子が用意されていますが、この「地蔵尊」のお菓子は通年販売されています。 

 

高岩寺の洗い観音像。後ろの壁にも檜扇紋があります。