「新しいすいかの和菓子を探し出すこと!」というのが、毎年夏に課しているノルマです。
今までに9種類集めましたが、近隣の和菓子屋さんのものはほぼ集め尽くした感じです。
ネット上で検索しても、似たような意匠のものばかりで、行き詰まってしまいました。
そこで、オリジナルデザインのお菓子を、オーダーメイドで作ることにしました。
前々から虎視眈々と考えていた案なのですが、丸いすいかを細長い棹物で表現しちゃおうという奇想天外な意匠です。
イメージを図解すると、こんな感じです。
まず、白こし餡を紅色(すいかの果肉色)に染め、円柱状にします。
すいかの縞模様に染めた煉切と、白い煉切をそれぞれ四角く薄いシート状にのばし、張り合わせ、皮の外側の緑の部分と、内側の白い部分に見立てます。
先ほどの紅色円柱にこのシートを巻き付け、断面の部分に種に見立てた黒胡麻を配して完成です。
このお菓子、これで終わりではなく、棹物を切り分ける時に、いろいろな形に切って、そのバリエーションを楽しめるというおまけが付いているのです。
この図案をもとにお菓子を作っていただいたのは、横浜・野毛の「もみぢ」さんです。
注文して1週間後に、いよいよ出来上がってきました!
黒胡麻を自分で付ける楽しみを残しておきたかったので、出来上がったお菓子には種は付いていません。
すいかの果肉特有のオレンジ色っぽいピンク色も見事に再現されていますね。
皮も内側の白い部分と、外側の緑色の部分がきれいに描き分けられています。
まずは輪切りにしてみました。
黒胡麻の準備も万端。
ひと粒ずつピンセットでつかんで慎重にのせていきます。
さらに半分にカットして、半月状にしました。
さらに半分にカットして、立ててみました。
どのように切ってもすいか感が半端ないですね!
次に、黒胡麻の配置や数を変えてみて、いろいろなパターンを試してみました。
最小限の3個の種のみを並べてみた。
外側寄りに均等に並べてみた。
直線的に並べてみた。
二列に互い違いに並べてみた。
二個ずつペアで並べてみた。
アットランダムに並べてみた。
思いっきり並べてみた。
種の配置によって、すいかの表情が刻々と変化するのも面白いですね。
さてさて、最後にお決まりの命名式です。
そのまま素直に「すいか」
片仮名で「スイカ」
漢字で「西瓜」
英語で「ウォーター・メロン」
棹物の形から「すいか棒」
品種から「縞王」「甘泉」「夏のだんらん」「夏のぜいたく」
種に注目して「すいかの種」
切る愉しみから「西瓜切る」
すいかを使ったレクリエーションから「スイカ割り」
などなど、いろいろ候補が挙がりましたが、最終的にこちらに決まりました。
「水果(すいか)」煉切製:上生菓子図鑑/もみぢ
すいかは水分が90%以上と果物の中でもトップクラス。その美しくみずみずしいシャリっとした果肉にちなんで。