「紅抓羊羹(べにつまみようかん)」水羊羹製:とらや
コチニール色素で紅色に染めた餡に白双糖(しろざらとう)と葛を加えて煉りあげた生地で白小豆こし餡を包み、布巾で茶巾絞りにして固めた水羊羹です。
水羊羹というと、いわゆる小豆あんを寒天で固めたアズキ色の四角いお菓子を想像しますが、紅抓羊羹は寒天は使わず、葛で固め、さらに中に餡まで入っているという、スペシャルな水羊羹で、葛餅風水羊羹と言った方がわかりやすいかもしれませんね。
文化14年(1817)に初めて創作され、江戸時代から綿々と守り継がれてきたお菓子です。
さて、コチニール色素ですが、天然の赤色着色料として、繊維の染料や絵の具に始まり、医薬品、食品の染色剤、口紅、アイシャドーなどに至るまで幅広く使われていますが、なんと、中南米などに生息するエンジムシという昆虫から抽出されている色素なんだそうです。
てっきり草花から採取したものだと思っていたので、ちょっと衝撃でしたね。
紅色のふっくらした形と、手作りならではのナチュラルなひだ模様が、蓮(はす)のつぼみを連想させるお菓子です。