「涼(りょう)」煉切製:シベリア本舗
白い煉切で小豆こし餡を包み、金魚鉢をかたどり、中に小石や水草、金魚を入れ、錦玉液を流し固めたお菓子です。
「夏はいかにも涼しきやうに」
これは、千利休の言葉ですが、蒸し暑い日本の夏には、生活や文化のすべてにおいて涼しさが第一とされています。
そこで、五感をフルに活用して、”涼”を感じてみましょう。
朝顔やすだれ、花火など、視覚で感じる涼。
風鈴やせせらぎ、潮騒など、聴覚で感じる涼。
蚊取り線香や井草、潮風など、嗅覚で感じる涼。
そうめんやスイカ、かき氷など、味覚で感じる涼。
水遊びや浴衣、涼風など、触覚で感じる涼。
など、他にもまだまだ、たくさんいろいろな”涼”がありそうですね。
同じ様に、五感をフルに活用して、このお菓子を味わってみましょう。
水の中でゆらりゆらりと泳ぐ金魚の姿を見て感じる涼。
「涼」という菓銘や「シベリア」という屋号を聴いて感じる涼。
淡く爽やかな寒天の香りを嗅いで感じる涼。
甘さ控えめなさっぱりとした味わいの中に感じる涼。
程よく冷やされた錦玉の舌触りやのどごしによって感じる涼。
小さなお菓子の中に、幾通りもの涼しさを仕込んだ夏の上生菓子は、まさに食べられる冷房装置ですね。