「夏の庭(なつのにわ)」錦玉製:甘春堂
水色に染めた錦玉の中に青えんどう豆や手芒豆、とら豆を散らし、こなし製の金魚や羊羹製の水草を配した棹物菓子です。
中庭においてある手水鉢(ちょうずばち)の中で悠々と泳ぐ金魚の姿を表現した逸品です。
京都の町家では部屋と部屋の間の小空間に「坪庭(つぼにわ)」を作っているところが多く、そこに石灯籠、手水鉢、飛び石、常緑樹などをあしらい、小さな庭園になっています。
この坪庭は、眺めて楽しむのはもちろんのこと、庭と周りを囲む部屋との間に温度差が生じることによって空気が流れ、自然のエアコンの役目も果たしているのです。
ほの暗い町家の中で、この小空間にひとすじの光が差し込み、手水鉢の中の光景がそこだけ切り取られたように浮かび上がったイメージのお菓子です。
このえも言われぬ美しさを体験できる日本の夏の庭は、まさに住まいのオアシスですね。
(出典:https://www.homepro.jp/smp/)