「指出の磯(さしでのいそ)」羊羹製:とらや
密煮の小豆を入れた道明寺羹と黒煉羊羹を斜めに配し、千鳥が磯辺に群れ遊ぶ情景を表した棹物菓子です。
茶色い煉羊羹の部分で川岸を、白い道明寺羹でせせらぎ、そして散らばった小豆で千鳥を表現しています。
元禄15年(1702)にはじめて創作された傑作です。
300年以上も前にこのような洗練されたお菓子が作られていたなんて、改めて江戸の文化の水準の高さに感心しますね。
切る位置によって、千鳥の数が増えたり減ったり、断面の光景が様々に変化するのも面白いですね。
「指出の磯」は、山梨市の中心部、笛吹川沿い位置する景勝地です。
川側から見ると岩山が突き出(差し出→指し出)ており、内陸部にありながら海辺の磯のように見えるところからこう名付けられたそうです。
歌枕として平安期より近代に至るまで、多くの歌人によって名歌が詠まれています。
その中の代表歌
「しほの山差出の磯にすむ千鳥君が御代をば八千代とぞなく」(古今和歌集)
菓銘から和歌を思い浮かべ、そこに詠まれた情景を想像しながら涼んでもらうという粋な趣向の逸品ですね。
現代の「指出の磯」
(出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B7%AE%E5%87%BA%E3%81%AE%E7%A3%AF)