「浜千鳥(はまちどり)」薯蕷製:豊島屋
小豆こし餡入りの薯蕷饅頭に千鳥(ちどり)の焼印を押し、さらに緑色の色素で蛇籠(じゃかご)の文様を描いたお菓子です。
千鳥はチドリ科の鳥の総称です。水辺に群れとなって住み、鳴き声が哀調を帯び、古くから詩歌に好んで詠まれてきました。
今の時季は、かき氷屋さんの旗に描かれた千鳥文様が馴染み深いですよね。
本来は2羽の千鳥が波間の上を飛んでいる姿を描いた「波千鳥」が有名です。
「世間の荒波を一緒に乗り越えて行く」という意味があり、夫婦円満や家内安全を表す縁起物の文様です。
蛇籠とは、蛇のように長く編んだ籠の中に石を詰め、川や水路に置いて、流れを堰き止めたり、方向を変えたりと、水流を制御するための道具です。
(出典:https://blogs.yahoo.co.jp/ko0214/GALLERY/show_image.html?id=51480058&no=0)
川の氾濫から身を守るための治水対策として、また、農業用の水路である堰(せき)としても用いられる、いわば生活のための道具であった蛇籠が、やがて、水辺をあらわすものとして、日本の伝統文様となり、着物や陶芸品、和菓子などの意匠として用いられるようになりました。
多くの蛇籠文様は、流水などの水を表す文様とともに用いられることで、涼を呼ぶ夏の文様の代表格となっています。
また、蛇籠は水辺の風景を描く時に千鳥とともによく用いられる文様で、 蛇籠千鳥文(じゃかごちどりもん)としても人気ですね。
実はとらやさんにも、そっくりな意匠のお菓子があるんですよ。
「淡路潟(あわじがた)」薯蕷製:とらや
長く、いろいろなお菓子を集めていると、時としてこのようなサプライズに出会えるのが何よりの魅力ですね。
(参考サイト:きもの着付とお料理教室 wayori @白金)