「花白川(はなしらかわ)」道明寺羹製:甘春堂
道明寺羹の中に蜜漬けの青えんどう豆を散らした棹物菓子です。
白川は京都の有名な花街、祇園の中を流れる清流です。
その白川のせせらぎが今にも耳に届きそうな涼感あふれる逸品ですね。
「道明寺羹」とは、錦玉に道明寺粉を溶かし固めたもので、江戸時代に生まれた羊羹のバリエーションのひとつです。
透けて見える道明寺粉が、雪やみぞれ、水しぶきなどを連想させ、涼しさをさらに増してくれるようですね。
「白川」の名前の由来は、流域一帯の地質が花崗岩主体で、川底の砂が白く、流れが白く輝いて見えたことによるそうです。
また、青々と散らばるえんどう豆は、水中に繁茂する藻や水草を表しているように見えますね。
青えんどうといえば、甘く煮込んだ「うぐいす豆」や餡にした「うぐいす餡」、砂糖漬けの「甘納豆」、ご飯と一緒に炊き込んだ「豆ごはん」などを連想します。
どれも素朴な調理法ですが、上生菓子の素材として用いられると、また違った魅力を発揮しますね。
近年は不作続きと作付け量の減少で、国産物では花豆と並んで高価な豆になっているようです。
そんな貴重な青えんどう豆だけに、じっくり丁寧に味わい尽くしたいですね。
祇園白川