「せせらぎ」淡雪羹・錦玉羹製:両口屋是清
木漏れ日を受けて流れるせせらぎの瀬音に涼しさを感じる。そんな風情を淡雪羹と錦玉羹で創作したお菓子です。
白と水色にぼかし染めた淡雪羹を流水模様の型に流し固め、大納言小豆の蜜煮を入れた透明の錦玉羹と合わせています。
淡いブルーに染めたさいの目状の錦玉をひと粒添えて、陽光を浴びて煌めく水しぶきを写しています。
また、二筋の緩やかなブルーの曲線で水の流れをなぞっているのも素敵な趣向ですね。
横から見ると、ふた粒の大納言が清流の底に静かに沈んでいる石のように見えますね。
このお菓子が面白いのは、上下ひっくり返し、錦玉の層を上にしてもこれはこれでせせらぎのお菓子として成り立つことですね。
透き通る川底の白砂と黒い石のコントラストがよりいっそう涼しさを感じさせてくれるようです。
断面を見ると、ふっくらと身の詰まった小豆がとても美味しそうです。
さらに、光の方向を変えると、錦玉の層が黒く羊羹のように見えます。
月夜に照らされ水面は蒼白く輝き、水中は暗く深い眠りに落ちているように見えます。
せせらぎの様々な表情が楽しめる、いろいろな引き出しを備えたお菓子ですね。