「照日の錦(てるひのにしき)」こなし製:とらや
紅色に染めたこなしで白小豆こし餡を包み、木型で押し抜き、日に照らされ輝きながら咲き群れる百合の花を写したお菓子です。大正7年(1918)に初めて創作されました。
夏の野辺に、様々な百合が清らかに咲き匂う光景を見事な彫りで表現されていますね。百合の花特有の、反り返るような花びらの造形が、実に生き生きと描かれています。
百合の代表的な種類としては、山百合、鬼百合、鹿の子百合、笹百合、鉄砲百合、乙女百合などがありますが、いろいろな百合を思い浮かべながら、美味しくいただきました。
さて、このお菓子の独特の紅色は、とらやさんならではのもので、私は勝手に”とらやレッド”と呼んでいます。
日本の伝統色の中で言うと、「桃色」に一番近いと思います。
(出典:https://twitter.com/543life/status/705007829707530241)
この色一色のみで、木型を使って季節季節の花々を表現する手法はとらやさんの十八番です。
他にも、こんな素敵なお菓子があります。
「好文花(こうぶんか)」こなし製:とらや
一輪の梅を木型で押し抜いたお菓子です。「好文花」とは梅の別名である「好文木」に由来する銘です。明治40年(1907) に初めて創作されました。
「奈良の都(ならのみやこ)」こなし製:とらや
艶やかな八重桜一輪を木型でかたどっています。花びらが幾重にも重なり咲く姿は、かつて都として栄えた奈良の華やかさを偲ばせます。 安政3年(1856年)にはじめて創作されました。
「御河の岸(みかわのきし)」こなし製:とらや
木型で抜いて桃の花を写しています。「御河(みかわ)」とは御所の周りや庭に設けられた溝(御溝:みかわ)のことです。大正時代頃に初めて創作されたお菓子です。
「神路山(かみじやま)」こなし製:とらや
神路山は伊勢神宮内宮の南、五十鈴川の中流域一帯の総称で、神路山のふもとに藤波の里と呼ばれる藤の名所があったことにちなんだお菓子です。初出年は大正時代。
「香ばら(においばら)」こなし製:とらや
匂い立つ薔薇の図柄を彫り込んだ木型で押し抜いたお菓子です。 明治45年(1912)に初めて創作されました。