「ほたる」きんとん製:豊島屋
小豆つぶし餡を芯にして、その周りに小豆そぼろを植え付け闇夜に見立てます。さらに、黄色に染めたこなし製の小さな玉を散らし、夜の草叢(くさむら)のあちこちで点滅する蛍の光を写したお菓子です。
新暦の6月11日〜15日頃は二十四節気七十二候でいうと、「芒種(ぼうしゅ)」第二十六候「腐草為蛍(ふそうほたるとなる)」に当たります。
じっとりと湿度の高い季節、腐りかけた草の下から蛍が光を放ち始める時です。昔の人は、腐って蒸れた草が化けて蛍になったと考えていたようです。
日本には約40種の蛍がいますが、すべてが光るわけではありません。むしろ光る蛍の方が少なく、源氏蛍や平家蛍を代表とする数種類のみだそうです。
蛍は成虫になると、口が退化して水しか摂取できなくなるため、約一週間しか生きられません。そんな短い命を輝かせるように幽玄に光りながら舞い続ける姿は胸に迫るものがありますね。