「虹(にじ)」羊羹製:文銭堂本舗
薯蕷羹(じょうよかん)の上に吉野羹(よしのかん)を流し、うっすらと浮かぶ虹を羊羹で表現しています。
薯蕷羹とは、羊羹に山芋を合わせたものです。
吉野羹は、葛を使用した羊羹のことで、このお菓子では、春霞のようにぼんやり煙ったような風合いを出す目的と、葛独特の風味と舌触りを加味するために効果的に使われています。
吉野という名前は、昔から良質の葛の産地として有名な奈良県吉野地方の地名に由来しています。
このお菓子の表面には細かい筋が無数に刻まれていて、その部分で光が乱反射し、まるで雲間から射す光芒のように見えたり、あるいは天気雨の時に陽の光を受けた雨脚がベールのように輝いている様にも見えます。
虹は、雨上がりに、太陽と反対方向の地表から空にかけて現れる七色の円弧状の帯のことです。
夏の夕立の後によく出現するために、俳句の世界では、「虹」単独で夏の季語とされています。虹はもちろん、年中見られるので、俳句に詠む場合、夏以外の虹は「春の虹」とか「冬の虹」といったように、季節を添えて表現します。
虹の七色は、外側から赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の順に並びますが、七色すべてがはっきりと見えることはあまりなくて、赤、黄、青などが目立ち、色の境目ははっきりしません。
このお菓子は赤、黄、青、紫の4色の虹になっています。