「若鮎(わかあゆ)」求肥製:塩瀬総本家
求肥で白餡を包み丸め、中央をへこませそこに寒天を流し込み、中に羊羹製の若鮎を泳がせています。
川の水面が初夏の日差しを受けて輝いている様子や、元気な若鮎の俊敏な動きから生まれた細かい水泡まで細かく再現されています。
秋に川底で孵化した鮎の稚魚は流れに乗って海に出て、沿岸部の比較的水温の高い岩場でプランクトンを食べながら冬を越します。
やがて、春になると、体長五センチばかりになり、二月から四月にかけて川を盛んに遡って来るようになりますが、この時期の鮎は「若鮎」と呼ばれ、春の季語になっています。
6月頃に鮎漁が解禁になるからだと思いますが、和菓子の世界では、春ではなく、初夏のお菓子として、「鮎」「若鮎」「清流」といった銘で今の時期、たくさん売られています。
若鮎はその名の通り、若さに満ちあふれた元気いっぱいの魚です。かなりの急流も遡ってきて、鯉の滝登りにも負けないくらい、小さな滝などもぴょんぴょんと飛び越えて上流に向かいます。
求肥の白、中の白餡の白ともに、初々しい若鮎のフレッシュなイメージにぴったりです。やわらかな求肥生地と、豆にこだわった自家製白餡のバランスのよさは、さすが創業1349年の老舗の真骨頂ですね!