「涼観水(りょうかんすい)」錦玉製:源吉兆庵
濃淡二色の青楓と赤く染めた鮎(あゆ)の型抜き羊羹をつややかな錦玉羹の中に配し、ほんのりヨーグルト風味のある羊羹の上に重ねています。
赤い魚は、その色からてっきり、金魚か鯉だと思いこんでいましたが、解説によると鮎だそうです。確かに、配色のバランスからすると、赤色が一番合いますが、鮎に見立てるというのは、この色だと、ちょっとしっくりこないですね。
新古今和歌集から、西行法師が詠んだ歌の世界を表現しています。
「道のべに 清水流るる 柳かげ しばしとてこそ 立ちどまりつれ」
(清水の流れる道のほとりに、涼しげに立つ柳の木陰よ。ほんのちょっとと思って立ち止まったのに、あまりの気持ち良さからつい長居してしまうことだなぁ。)
日増しに強まる夏の陽射しの傍らに、涼しげな清水の流れと、そこだけ置き忘れられたような緑陰を見つけました。
ほんの少しと思って立ち止まって清流を眺めてみると、目に映る水面や水底の爽やかな世界に、すっかり時間を忘れて見いってしまいました。