「青梅(あおうめ)」外郎製:大倉山青柳
緑色に染めた外郎生地で白こし餡を包みまるめ、へらにて割れ目をつけ、青梅を写したお菓子です。
六月の長雨である「つゆ」に「梅雨」の字をあてるのは、梅の実る季節に由来します。
早春に香しい花をつけた梅の木は、入梅の頃にはぽってりとした緑の実を結びます。
そんな梅の実の姿を写したお菓子が今、まさに旬で、いろいろな和菓子屋さんの店頭でたわわに実っています。
ということで、きょうは、青梅のお菓子にスポットを当て、様々な角度から掘り下げてみたいと思います。
(1)形
このお菓子の形を決める上でのポイントが3つあります。
A: 枝からもいだあとの小さなくぼみ
B: 割れ目
C: 先っぽのとんがり
このすべてを忠実に再現したものから、割れ目だけのもの、あるいは、あえて特徴的な要素を排し、抽象的に描いたものまでさまざまな表現方法があります。
(2)色
色合いも鮮やかな緑色から、少し熟して黄色っぽくなったもの、赤みの混ざったものなど、こちらも様々です。
実際の梅の実の写真をみても、その色の多彩さに目を奪われます。
(3)生地
生地は、求肥や外郎などの餅系のものがほとんどですが、たまに煉切製のものもあります。
(4)餡
お菓子の中身は、大きく分けて二種類あり、餡のみのものと、梅の実の甘露煮が入ったものがあります。
これは餡のみのもの。
こちらは梅の実がまるごと一個はいっています。中央の黄色っぽく見える部分は種です。
さてさて、堅苦しい分析はこのくらいにして、十人十色ならぬ十梅十色の青梅のお菓子をじっくりお楽しみください!
「青梅(あおうめ)」求肥製:つ久し
中に甘露煮の青梅が1個丸ごと入っています。この季節だけでなく、通年販売の人気商品です。
「青梅(あおうめ)」外郎製:東宮
菓銘は青梅ですが、少し熟して黄色っぽくなった実を描いています。中に黄身餡が入っているのが特徴です。
「青梅(あおうめ)」求肥製:三英堂
中は白こし餡で、梅の蜜煮が入っています。
「青梅(あおうめ)」外郎製:豊島屋
中には白こし餡がぎっしりつまっています。
「青梅(あおうめ)」外郎製:彩花苑
ほのかに紅をさしているのがチャーミングです。中は白こし餡。
「青梅(あおうめ)」求肥製:ささま
黄色っぽい色合いが特徴です。白こし餡が入っています。
「青梅(あおうめ)」求肥製:銀座あけぼの
白餡とともに蜜漬した奈良・徳島県産の「鶯宿梅」がまるごと入っているのが特徴です。
「青梅(あおうめ)」外郎製:両口屋是清
形は一番シンプルです。中は白小豆こし餡。
「青梅(あおうめ)」煉切製:村上
へこみの部分も、割れ目もくっきりと深めに誇張されているのが特徴です。
「青梅(あおうめ)」外郎製:塩瀬総本家
ABCのポイントをすべて丁寧に描いています。中は白こし餡です。
「青梅(あおうめ)」求肥製:三吉野
中に蜜漬けの梅が丸ごと入っているのが特徴です。
「青梅(あおうめ)」求肥製:蜂の家
少し乾燥して一部シワシワになっている梅を表現しています。へたの跡のくぼみに肉桂をまぶしているのがポイントです。
「青うめ (あおうめ)」求肥製: 龍月
一瞬本物かと見間違えるほど写実的です。中は白こし餡。
これだけそろうと、青梅のフレッシュな香りまで漂ってきそうですね(^^♪
葉の色にも負けないほど青々とした梅の実を見ていると、梢を渡る湿気混じりの風もすがすがしく感じられます。