毎日蒸し暑い日が続いていますが、体調崩されていませんか?
梅雨のジメジメした時期に爽やかな涼を届けてくれるとっておきの和菓子があります。
”錦玉羹(きんぎょくかん)”です。
これは、寒天を煮溶かし砂糖や水あめを加えて煮詰め 、型に流し入れて固めたお菓子です。
いろいろな色をつけることもできますし、中に様々な餡を入れたり、豆や果実などの蜜漬けを配したりと、幅広いバリエーションが楽しめます。
今日は鎌倉の和菓子屋さんの中で、私の一番のお気に入り「美鈴」さんの錦玉のお菓子を4趣お楽しみいただきたいと思います。
「水の月(みずのつき)」錦玉製
透明な錦玉羹の中に球状に丸めた小豆こし餡を入れたお菓子です。
6月は別名「水無月」。水の無い月と書きますが、「無」は「の」にあたる連体助詞「な」で、「水の月」という意味です。
まんまるの餡玉は水に映った月影のようにも見えますね。
「苗代(なわしろ)」錦玉製
透明な錦玉の上半分に緑色に染めたそぼろ餡を入れたお菓子です。
苗代とは、田植えの前に、稲の種をまいて苗を育てる苗床のことです。
生命感あふれる若々しい苗代の緑が、お菓子の中に見事に再現されていますね。
「清流(せいりゅう)」錦玉製
透明な錦玉の中にササゲ(大角豆)の蜜煮を散りばめたお菓子です。
ササゲとは、アフリカ原産のマメ科の植物で、日本には平安時代にすでに渡来し栽培されていたそうです。
小豆と似ていますが、小豆よりやや大きく、色が黒っぽく濃いのが特徴です。
こちらがササゲ。
こちらが小豆です。
ササゲは小豆より皮が厚く、煮ても形が崩れないので、見栄えが重視される時に重宝します。
味は、小豆にはかないませんが、値段はササゲの方がずっと高いそうです。
「琥珀羹(こはくかん)」錦玉製
寒天を煮とかして砂糖を加え煮詰め、クチナシの実を煮出してよく絞った液を、煮上がる直前に入れて琥珀色に染めたお菓子です。
息をのむような美しい色合いは、一面琥珀色に染まった幻想的な夏の夕暮れを思わせますね。
透き通った錦玉の中で繰り広げられる風雅な世界に思わず見入ってしまいます。