「涼便り(りょうだより)」羊羹・錦玉製:岡埜栄泉(新丸子)
錦玉の中に羊羹製のツバメ二羽と黒ゴマを練り込んだそぼろ餡を入れ、抹茶羊羹の上に配したお菓子です。
「涼便り」といえば、涼し気な清流や滝などをイメージしますが、ツバメがモチーフのお菓子だとは意外でした。
春に南方より渡ってきたツバメは、民家の軒先などに巣を作り、卵を産み、夏の間に子育てをします。
梅雨の時期には、雨に濡れながらもせっせとヒナのためにエサを運ぶ親鳥の姿がよく見られ、「濡れつばめ」という銘で上生菓子に描かれます。
その梅雨も過ぎ、今の時季は、無事に巣立った子ツバメたちの訓練期間ですね。
秋になると再び南に帰らなければならないので、それまでに自分でちゃんと餌が採れるように、また、長旅に耐えられるように体力をつけます。
このお菓子のツバメは、親子で仲良く飛んでいるように見えますね。子ツバメの成長を親鳥が優しく見守っているようです。
来年の春もまた元気な姿を見られますように、と願いながら美味しくいただきました。