「五月雨(さみだれ)」煉切製:一炉庵
最高級の天然色素である本紅を用いて真紅に染めた煉切で小豆こし餡を包み、木型にて燕と流水をかたどったお菓子です。
「五月雨」とは、6月に降る長雨のことで、いわゆる「梅雨」のことです。陽暦の6月は旧暦では5月にあたるので「五月の雨」となっています。
目を引く鮮やかな紅色のもとになる本紅は、紅花の色素を梅酢で分離したものです。 紅花は梅雨の時期から梅雨明けにかけてが開花期で、今まさに旬の花ですね。
このお菓子の主役になっている燕は、春先に日本に渡って来て、巣を作り卵を産みます。その子育て時期も梅雨と重なっていて、餌をくわえて雨の中を低空で飛翔するつばめの姿をよく目にします。
雨にもかかわらず、ひな鳥たちのために濡れながらもせっせと餌を運ぶ親つばめの姿からは愛情が伝わってきますね。
小さなお菓子の中に、梅雨と紅花、燕の3つの要素をうまく融合させた素晴らしい逸品です。