130年前の和菓子図案集を基に、木型を作成してオリジナルの和菓子を作るプロジェクト第2弾「竹に笹」(仮名)のお菓子がついに完成しました!
こちらが原画となります。(森 徳太郎 作)
細長い形なので、通常なら棹物で表現するところですが、それではありきたりなので、三つのブロックに分割して三種類の上生菓子を組み合わせて表現することにしました。
お皿に盛り付けるときに、三つのパーツを縦にくっつけるように並べると原図が完成するという演出です。
これを基に、長野県の鈴木製作所に依頼して作成した木型がこちらです。
図柄を彫り込む”ツラ”と、お菓子の厚みを形成する”下司(げす)”の二つの木型がペアでワンセットとなり、これが三種類あるので、すべて並べるとこんなにたくさんになります。
左から順に、上・中・下のパーツになっています。
三種類ともとても似た図柄で、それぞれのペアがこんがらがらないように、側面に彫刻刀で1本、2本、3本と筋を刻み付けて区別しています。
この木型を用いてお菓子にしたのがこちらです。それぞれのパーツを木型と並べて表示しています。(お菓子と比較しやすくするために木型の写真は加工して、左右反転させています)
菓子制作を担当したのは、お馴染み横浜・野毛の「もみぢ」さんです。
竹は淡い緑色、笹の部分は濃い緑色に染め分けた煉切で小豆こし餡を包み木型で押し抜いています。
では、さっそくお皿に盛り付けてみましょうね。
お菓子が映えるように、真っ黒な溶岩石風の艶のない平皿を使用しました。
原画と並べて比べてみましょう。
お菓子では、葉の枚数が若干少なめになっているのと、一番下の葉のボリュームが控えめになっていますが、原作の雰囲気はよく出ていると思います。
ではでは、それぞれ銘々皿に取り分けて、いただくことにいたしましょう!
もみじさんのどら焼きの餡が大好きで、よく食べるのですが、上生菓子の自家製こし餡もとてもやさしくまろやかで、職人さんのお人柄が偲ばれる味わいです。
さてさて、最後に、お菓子の銘を付ける楽しみが残っていますね。
・そのままズバリ「竹」「竹笹」「竹に笹」「竹林」
・家紋を参考にして「切竹」「切り竹笹」「三本竹笹」
・三本の竹が背比べをしているようなので「丈比べ(たけくらべ)」「竹比べ」
・竹の花言葉から「節度」
・フレッシュな緑色から「青竹」「若竹」
・おめでたい松竹梅から「福竹」「祝竹」
・物語から「竹取物語」「かぐや姫」
・ことわざ・慣用句から「竹を割ったよう」「竹馬之友」「破竹の勢い」
・七夕にちなんで「竹の節句」「竹飾り」「飾り竹」
・竹を組み合わせることから「合わせ竹」「竹重ね」
・品種から「孟宗竹(もうそうちく)」
・英語で「Bamboo(バンブー)」
など、いろいろ考えました。
そして最終的に、こちらの命名となりました。
風が吹くたびに漂うさざ波のような葉擦れの音や、竹と竹が触れ合うリズミカルな音が静けさを際立たせます。
京都の竹林で聴いた忘れられない音を菓銘にしました。