ずっと立て込んでいた仕事が一段落し、ようやく一息つけそうなので、今日は一泊の予定で熱海に来ています。
ゆったり温泉に浸かり、美味しいものを食べ、自然とふれあい、二日間で急速充電する予定です。
昼間は伊豆高原駅まで少し足を延ばし、大室山(おおむろやま)に登ったり、城ヶ崎海岸を散策したりと久しぶりに新鮮な空気を思いっきり満喫しました。
大室山は草だけで覆われた、標高580メートルのきれいな円錐形の休火山で、山頂まではリフトに乗って6分ほどで上れます。
中央の噴火口跡がすり鉢状にへこんでいてその火口縁をぐるりと一周歩いて回れるのです。
この遊歩道からは、海あり、島あり、山あり、街あり、空あり、雲あり‥まさに360度のスペシャルな眺望が楽しめます。
また、サスペンスドラマのロケ地としてお馴染みの、城ヶ崎海岸にある吊り橋から見下ろす海の色は吸い込まれそうなほど美しいブルーです。
橋を渡って岬の突端まで行くと、こんな劇的な海も見られます。
海育ち、島育ちとはいっても、いつも穏やかな瀬戸内海に馴染んでしまっている私にとって、このような荒々しい外洋の海を見ると、やはり興奮を隠しきれませんね。
さてさて、伊豆高原から熱海へと戻ったところで、すっかり忘れていた上生菓子発掘の任務があることを思い出しました。
駅前すぐに、下り坂が続く商店街があり、この中で和菓子屋さんを探すことにしました。
店頭でもうもうと蒸気を上げながら、おいしそうに温泉饅頭を蒸しているお店があちこちにあって目を引きますが、お目当ては上生菓子なので後ろ髪を引かれながらも通り過ぎます。
昔懐かしいアーケード街をすこし下ったところで、意外にもすんなりと本格的な和菓子屋さんを発見しました。
「一楽(いちらく)」さんです。
さすが観光地らしく、女将さんがてきぱきと緑茶を出してくれて、積極的に売り込みをかけてきます。
この時季一番のおすすめは、塩漬けの桜花入りの最中だそうなので、まずこれを購入することにしました。
この格調高い包みを見ただけでこのお店のレベルの高さが伺えます。印がプリントされたシールで丁寧に封がされており、隅々まで神経の行き届いた仕様に、さらに期待が高まります。
「あたみ桜最中」
粒々の際立った甘さ控えめな餡の中に桜の塩付けを一輪入れ、桜の花を描いた最中種で包んだお菓子です。
この最中、隠し味で梅酢が使われているのが特徴で、甘さ、しょっぱさ、酸味がほどよいバランスで組み立てられた新感覚の逸品でしたね。
その他に、粒あん入りの珈琲ゼリーや、ほろにがカラメルのプリンなど、洋風のお菓子も人気だそうで勧められましたが、今回は見送り、本命の上生菓子がないかを確認しました。
残念ながら、煉切などの上生菓子はなかったのですが、それに準ずる浮島製の棹物菓子を紹介されました。
「刻の海(ときのうみ)」という素敵な銘のお菓子です。
バリエーションのちがいによってサブタイトルがついていて、「しおさい」「あかつき」「春かすみ」の三種類あります。
いずれも浮島製なのですが、生地の色や生地の間に散りばめられた豆に違いがあります。
「あかつき」は青緑色の生地の間に大納言の甘納豆が入っています。
「しおさい」は黄緑色の生地の間にうぐいす豆の甘納豆が入っています。
そして、「春かすみ」は桜餡を練りこんだピンク色の生地の間に金時豆の甘納豆が入っていて、さらに桜花の塩漬けが添えられています。
「春かすみ」は1月〜4月上旬までの季節限定商品で、これから桜の開花を迎える時期にもピッタリですし、添えられた華やかな桜花も魅力的ということで、文句なくこれを購入することに決定しました。
「刻の海・春かすみ」浮島製:一楽
これが大当たりでした!生地がとてもしっとりしていてパサつかず、素朴ながらも深い味わいのある金時豆が時折、ふわりふわりとやさしい甘さを送り込んできます。
最近食べた浮島の中で一番おいしいと思いましたね。
銘々皿に取り分けてみました。
旅先でとびきり美味しい和菓子を見つけた時ほど嬉しいものはないですね。
次回、また当地を訪れる何よりの楽しみにもなります!