文科省の調査によると、日本全国には1,100軒以上もの美術館があるそうです。
私が行ったことのある美術館はごくわずかではありますが、特に気に入ってよく足を運ぶのが、箱根にあるポーラ美術館、同じく箱根の彫刻の森美術館、神奈川県立近代美術館の葉山館、そして東京にある山種美術館です。
そのいずれにも、レストランやカフェが併設されていて、オリジナルのスイーツが楽しめるのが甘党の私にとっては何より大きな魅力になっています。
その中でも、山種美術館は日本画専門ということもあり、館内のカフェ「Cafe 椿」さんで上生菓子がいただけます。
しかも、このお菓子、開催中の展示画をモチーフにして創作された、ここでしか味わえないオリジナルデザインなのです。
青山の老舗菓匠「菊家」さんと「Cafe 椿」さん、「山種美術館」の三者共同で、何か月も前から念入りに準備し、何度も試作を重ねて生み出された渾身の作品です。
今日紹介するお菓子は、2017年2月16日〜4月16日の期間開催されている「 日本画の教科書 東京編―大観、春草から土牛、魁夷へ―」展にちなんだものです。
「鳥きたる(とりきたる)」煉切製:菊家
パンフレットの写真と若干色合いや完成度が異なっています。ちなみにこちらが見本の写真です。
(出典:http://www.yamatane-museum.jp/upload/cafe170215.pdf)
このお菓子のモチーフとなったのは、明治生まれの日本画家、荒木十畝(あらきじっぽ)の《四季花鳥》です。
(出典:http://acore-omiya.com/yamatane/)
4幅対になった掛け軸で、春夏秋冬それぞれの花鳥が描かれた豪華な作品です。その中から《 春(華陰鳥語)》がモチーフになっています。
描かれている花は、白木蓮、椿、連翹、スミレ、鳥は、シジュウカラ、イカル、ハッカンだそうですが、その中から白木蓮とシジュウカラを選んで端正なお菓子に写しとっています。中は自家製の小豆こし餡です。
錦玉製のシジュウカラが餡台の上に立つように配置されていて、お菓子を持ち上げると、長い尾羽がフルフルと左右に揺れるのが楽しいです。
これを意図して作っているとしたら、おそらく、世界初の動く上生菓子といえますね(^^♪