「願う春(ねがうはる)」羊羹製:末富
鶏を描いたこなし製の絵馬を松竹梅で飾り錦玉羹の中に入れ、紅色に染めた羊羹の上に配したお菓子です。
今年の干支「酉」にちなんだ創作羊羹です。
目を引く羊羹の独特な紅色は、「梅重(うめがさね)」という平安時代の襲の装束に由来した色に近いですね。重なり合った紅梅の花のような明るい紅色です。
緑色の円の中に細かいL型の線を刻み込んだものは、松葉をモチーフにした伊砂文様の松に似ています。
伊砂文様の松 (出典:楽天市場)
さらに、三枚葉の竹の葉と五弁花の紅白の梅がそれぞれ三つずつバランスよく配置され、全体としてお正月らしい華やいだ雰囲気に仕上がっていますね。
このお菓子の特徴は、羊羹の裏面に砂糖の結晶が白っぽく浮き出てきてシャリシャリした食感が楽しめることです。
中心部のしっとりとした食感と表面のざらついたような食感の対比が心地よい逸品です。
「今年も一年健康で、たくさんの美しい和菓子に出会えますように!」とお菓子の絵馬に託しながら、じっくりいただきました。