「酉(とり)」煉切製:いづみや
黒と白にぼかし染めた煉切で小豆こし餡を包み、鶏の体を型押しで描き、尾はヘラを用いて手技で表現したお菓子です。
今年の干支「酉」にちなんだ干支菓(かんしか)です。
日本画家「伊藤若冲」の群鶏図からインスピレーションを受けて創作されたそうです。
鶏は甲高く鳴く独特の声で、あらゆる邪気を祓い清め、太陽を呼び寄せてくれる神聖な鳥とされてきました。
上生菓子には珍しい黒の濃淡のみの色合いには、暁を呼ぶ霊鳥としての神秘性が宿っているように感じます。
ひときわ目を惹くのが尾羽の流麗な細工ですね。
見事な尾はまさに長寿繁栄、飛躍発展を感じさせてくれます。
いづみやさん三代目店主、三堀純一氏は「菓道家一菓流家元」と称し、インスタグラム上で毎日一品ずつ新作の上生菓子を発表し続けていて、1000作品を超えたそうです。
これがどれも斬新で精巧な力作ばかりで、世界中で話題になっています。
今年は一年がかりで、三堀氏の銘品を追い求める予定です。