今日は、大阪の御菓子司「絹笠(きぬがさ)」さんを紹介します。
ホームページによると、創業は慶応3年(1867年)で、この年は、大政奉還や坂本龍馬の暗殺などがあった年で、翌年には江戸時代が幕を下ろすという激動の時代に産声を上げた和菓子屋さんです。
初代庄兵衛は神戸元町にて松花堂の屋号で創業しました。
昭和18年には、戦時統制のため止むなく廃業。昭和23年、統制撤廃に伴い岡本大三が大阪市旭区大宮町にて戦前松花堂の流れを汲み、御菓子司絹笠として復活し、現在に至っているという150年以上の歴史を誇る老舗です。
お正月に大阪の妹宅へ遊びに行った際、難波の地下街で偶然、絹笠さんの販売所を見かけ、新春の上生菓子の斬新な意匠に目を奪われ、衝動買いしたお菓子です。
「唐松(からまつ)」求肥・煉切製:絹笠
小倉餡に求肥を包み、白と挽茶の煉切でぼかし松形にしてつや天をかけ、挽茶煉切を巻いて、上部にえんどう豆を置いたお菓子です。
唐松は唐絵(中国の絵画)の松に似ている事が名前の由来で、日本の針葉樹のうち唯一の落葉樹です。
「福竹(ふくたけ)」きんとん製:絹笠
小倉餡に緑色のきんとんを植え付けて、ハシ切りした白挽茶の竹の葉を添えたお菓子です。
「初梅(はつうめ)」外郎製:絹笠
白と水紅色の外郎を合わせて白餡を包み、布巾で山形に絞り、紅色の煉切の梅の花をつけたお菓子です。
「清振(せいしん)」羊羹製:絹笠
薄紅色に染めた煉切で小豆餡を包み、側面に白羊羹紅筋入の短冊を巻き、上面に白のそぼろをのせ、表面に金箔を散らしたお菓子です。
平成26年の歌会始の御題「静」にちなんだお菓子。
「干支・馬騎初(えと・ばきしょう)」煉切製:絹笠
白と小倉の煉切を合わせて黄味餡を包み、鞍(くら)の形にして、紅白の手綱をつけ、肉桂をつけて馬の形を押したお菓子です。
馬騎初は「うまのりぞめ」ともいい、新年はじめて馬に乗る儀式のこと。室町幕府では正月二日、江戸時代には正月五日に行われたといいます。新年の季語にもなっています。
「絵馬(えま)」薯蕷製:絹笠
薯蕷生地に栗入小豆こし餡を包み、織部を描き、絵馬の焼印を押したお菓子です。
古来より馬は縁起がよい動物といわれており、中でも馬の字を反転させた「左馬(ひだりうま)」は招福のシンボルとされています。
大阪の和菓子屋さんといえば、鶴屋八幡さんや福壽堂秀信さんなどに親しんできましたが、今回、こんなにレベルの高い隠れた名店に出会えて幸運でした。