日本画専門の「山種(やまたね)美術館」に併設されたカフェ「Cafe 椿」で販売している上生菓子を紹介するシリーズ第6弾です。
この上生菓子は、開催中の展示画からモチーフをとって創作されたもので、青山の老舗菓匠「菊家」さんと「Cafe 椿」さん、「山種美術館」の三者共同によるオリジナルデザインの和菓子です。
2016年12月10日〜2017年2月5日の期間開催されている「山種コレクション名品選Ⅲ 日本画の教科書 京都編 ―栖鳳、松園から竹喬、平八郎へ―」にちなんだ5種類の上生菓子を、今日から5日連続でお届けします。
今日紹介するお菓子は、 明治生まれの女流日本画家、上村松園(うえむら しょうえん)の作品《牡丹雪》がモチーフになっています。
(出典:http://www.yamatane-museum.jp/exh/2015/-140.html)
牡丹雪が降りしきる中、傘を深めにさし、前屈みに急ぐ娘と、従う侍女の姿が清々しく描かれています。
松園は傘をさした美人画を多数遺しましたが、本作はその代表として知られ、松園69歳の時の作品です。
この絵の中の傘にスポットをあて、お菓子に写し取りました。
「雪けしき(ゆきけしき)」煉切製:菊家
青紫色と白、黄色に染め分けた煉切で餡を包み、傘をかたどった木型で押し抜き、粉砂糖を散らしたお菓子です。
手前の女性の着物の色にちなんで、中の餡は淡いグリーンに染めた柚子餡になっています。
菊家さんでは、以前に同じ木型を使い五月雨を表現したお菓子がありました。
「五月雨(さみだれ)」煉切製:菊家
散らすものが粉砂糖か、さいの目の錦玉かによって雰囲気ががらりと変わるのが楽しいですね。