カフェ椿×山種美術館×菓匠菊家の最強メンバーが総力で創り上げるオリジナル上生菓子。
今回のシリーズはすべて「速水御舟(はやみぎょしゅう)」の作品がモチーフになっています。
今日のテーマとなる絵画は、山種美術館の創立者・山崎種二氏のお気に入りとして大切に所蔵されていた作品です。
速水御舟《紅梅・白梅》(1929年)
(出典:山種美術館HP)
2対の掛け軸で、左に白梅と月、右に紅梅が描かれています。しなやかな細い枝に咲く白梅と逞しい枝に咲く紅梅の対比が見事ですね。
梅に目が奪われがちですが、三日月よりもさらに細い二日月が陰の主役のようです。
空間を大きくとった構図が、張り詰めた空気感を醸し出していますね。
「春慶(しゅんけい)」煉切製:菊家
肉桂粉(シナモンパウダー)入りの煉切で小豆こし餡を包み四角形にかたどり、表面に千筋をつけます。さらに、その上に羊羹で梅の枝を描き、煉切製の紅梅と淡雪製の白梅を配し、銀箔を散らしたお菓子です。
シナモンの豊かな香りが、匂いたつ梅の感覚を呼び起こしてくれそうです。
春慶と言えば、天然の木目の美しさをそのまま活かした春慶塗という漆器を思い起こしますが、梅柄のついた春慶の小箱のようにも見えます。
40年の短い生涯にもかかわらず、貪欲に画風を変えながら、新しい日本画の表現に挑戦し続けた御舟ですが、自分の意匠がお菓子になって、100年後の人々に賞味されている光景を、天国からどんな思いで見ていることでしょう!