山種美術館で開催されている「速水御舟(はやみぎょしゅう)」展にちなんだ、Cafe椿オリジナルの上生菓子を紹介するシリーズです。
まずは今日のテーマから。
速水御舟《白芙蓉》(1934年)
(出典:http://www.art-annual.jp/news-exhibition/exhibition/24181/)
葉を墨で描き、芙蓉の花をたっぷりの胡粉(日本画に用いる白色絵具)を使って描いています。花弁中心の鮮やかな赤が目を引きます。
「しらつゆ」煉切製:菊家
白と紅色に染め分けた煉切で柚子餡を包み、木型にて押し抜き芙蓉の花をかたどります。さらに、黄色に染めたそぼろ状の錦玉をしべに見立て、中心に盛り付けたお菓子です。
菓銘は、夏目漱石の句「白露や芙蓉したたる音すなり」に由来しています。
Cafe椿さんがオリジナルの和菓子を創作する際に、2〜3ヶ月も前から準備を始めるそうです。
まず展覧会出品作品の膨大なリストの中から和菓子で表現しやすそうなものを15〜16作品に絞り込みます。
口に入れる食品としてふさわしいテーマか?季節にマッチするか?過去の作品と重複しないか?色や形、素材、製法がかぶらないか?などを吟味し、さらに7〜8作品に絞り込んでいきます。この段階で菊家さんに創作を依頼します。
できあがった1回目の試作品を、Cafe椿の担当者と美術館館長、学芸部員でよく吟味し、改良点を菊家さんに伝え、さらに2回目の試作品を作ってもらいます。
このように、何度も試作を繰り返す過程の中で惜しくもボツになってしまう作品もあり、最終的に5種類の完成品に仕上げていくそうです。
この「しらつゆ」は最初、試作品では小豆こし餡でしたが、中の餡がかすかに透けて見え、せっかくの白い生地がくすんで見えてしまうので、柚子餡に変更されたそうです。
さすが、美術館とのコラボだけに、どのお菓子も徹底的にこだわりぬいた完成度の高い芸術品に仕上がっていますね。