「百日紅(さるすべり)」葛製:鶴屋八幡
玉子あん(黄身餡)を紅色に染めた葛で包んだお菓子です。
百日紅は夾竹桃(きょうちくとう)と共に夏を代表する花で、夏の季語になっています。
「百日紅(ひゃくじつこう)」の名は、百日ものあいだ紅色の花を咲きつづけることに由来します。
しかし、実際は、ひとつの花がずっと咲いているわけではなく、一度咲いた枝先から再度芽が出てきて次々に花をつけるため、咲き続けているように見えるというわけです。
花の色は紅のほかに白、紫もあります。花が美しく、耐病性もあり、必要以上に大きくならないため、しばしば好んで庭や公園などに植えられています。
幹の樹皮がはがれた部分はつるつるしているところから、「猿も滑って落ちる→猿滑り」というのが、名前の由来とされています。
このお菓子とまったく形が同じで、色違いのお菓子があります。
「紫陽花(あじさい)」葛製:鶴屋八幡
「紫陽花(あじさい)」葛製:鶴屋八幡
「花藻(はなも)」葛製:鶴屋八幡
「待宵草(まつよいぐさ)」葛製:鶴屋八幡
このように、季節と色のみで違う主題を描き分けることができるのは和菓子の醍醐味ですね。
特にきんとん製は基本の形はほぼ同じですから、そのお菓子が作られた季節と色の違いのみでテーマを表現することになります。
例えば、春で薄紅色なら「桜」、初夏で緑色なら「新緑」、秋で黄色なら「銀杏」、冬で白なら「雪」というように。
ゲーム感覚で、菓銘を見ずに、色合いだけで何を表現したものか当ててみるのも楽しいですよ。
百日紅の花