日本画の専門美術館「山種美術館」に展示されている作品にちなんだ上生菓子を紹介するシリーズです。
「波と鶴(なみとつる)」きんとん製:菊家
水色と白のまじりきんとんで波を表し、型で抜いた黄色い羊羹製の鶴を二羽添え、金箔を散らしたお菓子です。中の餡は、黒糖風味の特製大島餡です。
国宝《風神雷神図》屏風で有名な俵屋宗達が絵を、本阿弥光悦が書を担当した「四季草花下絵和歌短冊帖」の中から「千羽鶴」をモティーフにしたお菓子です。
この短冊帖は、金銀泥(金銀の箔を膠水につけて加熱、摩擦して泥状にしたもの)を使用した作品で、光の当たり方によって輝きが変化していくのが特徴です。
下にこの絵の写真を転載していますが、残念ながら写真上ではこの効果はわかりませんね。
お菓子では、金箔をあしらった黄色い羊羹でこの金銀泥特有の輝きを表現しているようです。
短冊は、細長い限られた画面の中にいかにしてモティーフを切り取っていくかが見せどころです。
上生菓子も限られた小さなお菓子の中に大きな世界を創り上げていくものなので、相通ずるものがありますね。
俵屋宗達(下絵)・本阿弥光悦(書)《四季草花下絵和歌短冊帖》のうち「千羽鶴」(向かって左端の短冊)
(出典:http://www.yamatane-shop.com/product/289)