「静海波(せいがいは)」薯蕷製:豊島屋
青と白にぼかし染めた薯蕷生地で小豆こし餡を包み、青海波文様を彫り込んだ木型で押し、蒸し上げたお菓子です。
この魚のウロコのように見える幾何学的な文様は、エジプトやペルシャをはじめ、世界各地で見られ、日本でも古くは埴輪(はにわ)の衣装などにも用いられていました。
その後、雅楽の演目「青海波」(「静海波」や「清海波」とも書く)で、この文様の衣装を身に着けるようになったことから、文様の名称としても用いられるようになりました。
青海波の文様(出典:おやさと雅楽会)
半円形を同心円状に重ね、互い違いに配し、波のように反復させた文様で、穏やかな海原を表しています。
同じ模様の連なりから、絶えず打ち寄せる波のように、いつまでも平穏が続くことを願う吉祥文様として用いられています。
無限に広がる海を眺めていると、日々の厄介事でざらついた心が、いつの間にかきれいに洗い流されていくような気がしますね。