「荒磯(あらいそ)」葛製:両口屋是清
葛に沖縄産の黒砂糖を入れて煉り上げ、備中白こし餡を包んで茶巾絞りにします。真挽粉(しんびきこ)を上に散らして、黒く光る岩肌と波しぶきを表しています。
豪快な波しぶきを受けては流し返す荒磯の黒い岩肌が臨場感あふれる表現で見事にお菓子に写されています。
巾着絞りによって偶発的にできる襞(ひだ)の表情が、見る角度によってさまざまに変化し、それらを写真に撮って並べると、まるで映画のコマ送りのように、波しぶきの動きが描写されています。
真挽粉とは、新引粉とも書き、道明寺粉を細かく引き割って煎ったものです。荒粉(あらこ)、みじん粉、いら粉とも呼ばれています。
南の島の太陽の光が凝縮したような深いコクのある黒砂糖の独特な風味と、葛のもちもちした食感、やさしい白こし餡が三位一体となって立体感のある味を醸し出していました。