「紫陽花(あじさい)」葛製:鶴屋八幡(関西)
「紫陽花(あじさい)」葛製:鶴屋八幡(関東)
いずれも、玉子あん(黄身餡)を白道明寺交りの葛で包んだお菓子です。なんと、関東と関西で色合いを変えて出している念の入れよう。鶴屋八幡の思い入れが伝わってきますね。
関西バージョンは派手好きの大阪らしく、目の覚めるようなブルー。関東は上品な薄紫色に染められています。
厳冬の季節に生まれ、灼熱の夏に大活躍する葛粉を使って見事に表現した紫陽花二趣です。
葛粉の原料となる葛の根の収穫は、霜が降り、葉っぱが枯れ、養分が根に貯まっている冬の間におこなわれます。
根の塊を地中から掘り起こし、細かく砕き、何度も冷たい水にさらしては濾過し、純白の澱粉だけを採り出します。
厳寒の冬に丹誠込めて採取された葛粉が、酷暑の夏にいかにも涼しげな姿で颯爽と登場してくる様は実に小気味良いですね。
半透明の葛の質感が雨に濡れたみずみずしさをうまく表現しています。また、葛の中に生じた細かい気泡や、まぜ込んた道明寺の白いつぶつぶが雨滴のように見えます。
さらに、中の鮮やかな黄身餡を、青や紫に染めた葛のベールに透かすことで、より複雑な色彩の変化を生み出し、紫陽花の花の七変化を絶妙に写しています。
まさに、葛ならではのカラーコーディネートの妙ですね。