「八仙花(はっせんか)」羊羹・錦玉製:豊島屋
白羊羹の上に、葉をイメージした緑の錦玉を流し、さらにその上に、透明な錦玉とこなしであじさいを表現した棹物菓子です。
ピンク、紫、ブルーの三種類あり、今回はブルーを選びました。
一般的な上生菓子の三倍くらい大きさのある棹物なので、広がりがあって豪華ですね。
真上から見ると、お皿一面に、あじさいが咲き誇っているようです。
こなし製の花は、ブルーの濃淡が二種類あり、また、ブルーと白の配分もひとつひとつ微妙に変えていて、とても丁寧に作られています。
さっそく切り分けてみました。
側面から見た緑のグラデーションもエメラルドのように美しいですね。
「八仙花」は、中国語であじさいを指す単語で、中国では「バーシエンホワ」と発音します。
一般的に、あじさいは「紫陽花」と書きますが、雨が似合うイメージからすると「紫雨花」でもいいと思うのですが(笑)、なぜこの漢字が当てられたのでしょう?
この紫陽花という漢字名は、中国唐代の詩人白居易の詩『七言絶句』からとられているそうです。しかし、オリジナルの紫陽花というのは、いわゆる「あじさい」の花ではなく、実はリラの花を指していたといいます。
日本の三十六歌仙の一人である源順という人が、日本のあじさいの花に、強引にこの「紫陽花」を当ててしまったそうです。
梅雨は、しとしとと降り続く雨、蒸し暑くじっとり纏わり付く気温も合わさって嫌われる季節です。
みんなが明るい日差しを待ち望んでいる時に、紫色にまあるく華やかに咲くあじさいは、まるで太陽のようです。
梅雨時に、明るい陽光の代わりをしてくれるあじさいは、やはり「紫陽花」という漢字がぴったりですね!