「ほたる袋(ほたるぶくろ)」煉切製:梅花亭
薄紅紫色と白にぼかし染めた煉切で小豆こし餡を包み、細長く丸め、指先でフリルのような花弁を作り、ささらやへらで押して筋をつけます。さらに、緑に染めた煉切製のがくをつけ、花の中にさいの目状の黄色い錦玉を入れたお菓子です。
蛍袋(ほたるぶくろ)はキキョウ科の多年草で、初夏に細長い釣り鐘形の花を、茎から垂れ下がるように咲かせます。
名前の由来は、子供たちが、この花にホタルを入れて遊んだからとか、花が提灯(ちょうちん)に似ていて、提灯の古語である「火垂(ほたる)」から来ているともいわれています。
花びらの内側で黄色く輝いている錦玉は蛍を写しているようですね。
目の錯覚で花の中は空洞のように見えますが、実は花びらのひらひらの部分は短く、奥はすぐに周囲と同色の壁になっていて、中にこし餡が入っているのです。断面で見るとからくりがよくわかります。
蛍袋は他にもいろいろな別名があり、「蛍花」「釣鐘草」「提灯花」「風鈴草」などとも呼ばれています。また、似た名前で「蛍草」というものがありますが、これは露草の異名で、蛍袋とは別物です。
かわいいい巾着袋のような姿をみると、思わず中に何かを入れたくなりますね。